
レベル3の大雨警報が出た夜。
外は土砂降り。
店には誰もいない。
そろそろ閉めようかと思っていた頃、
ドアが開いた。
ずぶ濡れの男女が二人、
逃げ込むように入ってきた。
二人は店の隅の席に座った。
長い沈黙。
聞こえるのは、
外の雨と、
店の中の音楽だけ。
恋人同士なのか。
夫婦なのか。
それとも、
そういう関係ですらないのか。
いつも通り酒を作って、
いつも通りカウンターの中にいた。
二人の沈黙と、
俺の沈黙。
外では、
まだ激しい雨が降っている。
あの二人が雨宿りしていたのは、
雨からだったのか。
それとも、
二人の間に降っていた何かからだったのか。
土砂降りの雨の夜。
あの店で一番大きな音は、
沈黙だった。